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社説の読み比べ

確かめる仕組みを三紙が書いた——朝日は地位協定を、赤旗は規制委を問い、日経は報道の締め出しを戒めた|社説読み比べ 2026年9月29日(火)

 公開

この日、並べると見えたこと

2026年9月29日(火)付の主要9紙の社説を読み比べる。この日の掲載は14本。聖教新聞は社説の掲載がない。

朝日、赤旗、日経の三紙が、確かめる仕組みを書いた。題材は、朝日が沖縄の米軍基地周辺の有機フッ素化合物(PFAS)、赤旗が浜岡原発の基準地震動の捏造、日経が米政権による報道機関の締め出しである。朝日は立ち入り調査を米側の受け入れに委ねる日米地位協定の限界を、赤旗は不正を見抜けなかった原子力規制委員会を問い、日経は政府の問題をただす報道が取材の場から締め出されることを戒めた。朝日と赤旗は確かめる仕組みが働かなかったことを書き、日経は確かめる側が締め出されたことを書いた。

この記事の要点

  • 朝日は、米軍が汚染源と認めながら立ち入り調査を拒み、政府がその事実を明らかにしなかったPFASを書き、地位協定の見直しを求めた。赤旗は、浜岡原発の基準地震動の捏造と、それを見抜けなかった規制委を問うた。日経は、米政権の報道機関の締め出しを「目に余る」とし、政府の問題をただす報道の役割を書いた
  • 維新を毎日も書いた(定数削減は「乱暴」、非核三原則の見直し、中司氏の起用)。ダークパターンは毎日で三本目、国が情報を集める権限は読売で五本目、民泊は産経で二本目
  • この日の一本は東京「生活保護判決 外国人排除の非人道性」——最高裁の多数意見と裁判長の反対意見を並べ、国民年金などとは違って生活保護だけが通知で済まされてきた経緯を示して、国籍要件の撤廃を求めた

この日の一覧

追いかけ中の主題

主題これまでこの日通算この日の【賛】と【注】
沖縄の米軍基地のPFAS9/12 赤旗朝日二本目—
浜岡原発の地震動データ不正9/15 朝日・読売・産経・東京・日経、9/16 毎日赤旗七本目赤旗 −2 ■■□
米政権による報道機関の締め出し9/28 朝日日経二本目—
衆院の定数削減9/22 毎日(見出し)、9/28 東京毎日三本目—
悪質なネット誘導(ダークパターン)9/1 公明、9/22 読売毎日三本目—
国が情報を集める権限9/3 産経、9/22 朝日・産経・赤旗読売五本目—
民泊の規制強化9/20 日経産経二本目—
市販品類似薬(OTC類似薬)の追加負担9/4 産経読売二本目—
イランの戦争と中東9/3から9/21までの11本(直近は9/17 毎日・読売・日経、9/21 産経)東京十二本目—
アジア大会9/19 毎日・産経・東京、9/26 産経産経五本目—

【賛】と【注】の読み方。【賛】はその政策への賛否で、−2 反対を明記/−1 否定的だが撤回は求めず/0 是非に触れない/+1 条件付き支持/+2 もっと進めよ。【注】は政府への注文の強さで、□□□ 触れただけ/■□□ 注文を出した/■■□ 条件や基準まで示した/■■■ 代案を自分から出した。この採点は本連載の読みであり、各紙の公式見解ではない。賛否の軸に乗らない主題には付けない。この日の浜岡で【賛】が測っているのは、中部電力に浜岡原発の再稼働を続けさせることへの賛否である。主題ごとの全体像は主題別の比較一覧にある。

一確かめる仕組み——朝日は地位協定を、赤旗は規制委を、日経は報道を

朝日は、沖縄県内の米軍基地の周辺で、発がん性が指摘されるPFASが高濃度で検出されている問題を書いた。在日米軍は2023年末、嘉手納基地と普天間飛行場でPFASを含む泡消火剤を使っていたことが原因となった可能性が高いと、日本政府に伝えていた。それでいて米軍は、沖縄県が申請した立ち入り調査を、基地が汚染源であることを示す科学的根拠が明確でないとして認めなかった。防衛省が米側の回答を公表したのは2年後で、米側が汚染源と認めた事実には触れなかった、と朝日は書く。

「在日米軍は基地が汚染源と認めながら、地元自治体の立ち入り調査を認めない。日本政府は米軍が認めたという事実を明らかにしない。」

朝日新聞

朝日は、政府が環境問題の成果と強調してきた2015年の「補足協定」も、立ち入り調査は米側の受け入れが前提で有効に機能していないとして、地位協定の見直しを求めた。この件は、9月12日に赤旗が書いている。

赤旗は、浜岡原発の基準地震動の捏造を書いた。中部電力は審査の申請を取り下げ、社長・会長・相談役の辞任を発表したが、社長は再申請に向けた取り組みを進めると表明した、と赤旗は書く。赤旗は再稼働の断念を求め、規制委には設置許可の取り消しも視野に入れた措置を求めた。そのうえで、規制委そのものを問うた。

「同時に、不正を見抜けなかった規制委のあり方も問われています。」

しんぶん赤旗

規制委は中部電力以外の原発は調査不要としているとして、赤旗は全ての原発を調査すべきだと書いた。

日経は、トランプ米政権がCNNなど3社をホワイトハウスの取材から排除した措置に、米連邦地裁が一時差し止めを命じたことを書いた。政権は3社が政権に批判的な「偽ニュース」を報じていると主張し、記者証を没収していた。排除は差し止めの後に解除されたが、ホワイトハウスは「トランプTV」を立ち上げ、一方的な情報発信を強め始めた、と日経は書く。

「情報統制を敷き、政権の言い分を垂れ流すメディアばかりになればどうなるか。政府の不正行為や政策上の問題をただすのが難しくなり、解決の機会が失われかねない。」

日本経済新聞

日経は、保守系のFOXテレビを含む主要テレビ局5社が抗議して中継を見送ったことを挙げ、その連帯を「私たちは支持する」と書いた。

三紙を並べると、確かめる仕組みのほうが問われていることが見える。地位協定は立ち入りを米側の受け入れに委ね、規制委は捏造を見抜けず、報道は取材の場から締め出された。

二追いかけている主題から

維新を、毎日も書いた。9月27日、読売と赤旗は、連立に加わった維新を逆の側から書き、前日の東京は、維新が連立参加の条件として求めた衆院の定数削減を書いた。この日の毎日は、閣内協力に転じた維新を一本にまとめて書いた。期限内に結論が出なければ比例代表だけを45削減する法案を「乱暴と言うほかない」とし、維新が非核三原則や専守防衛の見直しを掲げていることを挙げた。

「自説に固執してアクセルを踏むばかりでは無責任だ。」

毎日新聞

維新から初入閣した中司宏規制改革担当相については、大阪府枚方市長時代に官製談合事件で逮捕され有罪が確定しているとして、適材適所と言えるのかと問うた。

ダークパターンは、毎日で三本目になった。9月1日の公明は、広告・契約・解約の各段階に規制を設ける「包括的な規律」を妥当とし、9月22日の読売は、規制すべき悪質な手法の明確化を求めた。この日の毎日は、ダークパターンの包括的禁止を法令に明記し、具体例を示し、違反した業者に行政処分を科すという消費者庁の有識者検討会の提言を、有効だろうと認めたうえで、こう書いた。

「ただ、国や自治体ではチェックしきれない。通販サイトなどを運営するプラットフォーム事業者の役割が重要だ。」

毎日新聞

公明は網の広さを、読売は網の目を書き、毎日は網を誰が見張るかを書いた。毎日は、欧州連合(EU)がプラットフォーム事業者に違法コンテンツの排除を義務づけていることを挙げた。

国が情報を集める権限は、読売で五本目になった。9月22日、朝日は立法を急ぐなと書き、産経は施行を早めよと書き、赤旗は陸上自衛隊による民間人の情報収集をやめよと書いた。この日の読売は、政府の有識者会議が議論を始めた国家情報戦略について、情報の収集力を高めよと書いた。外国政府などの指示を受ける人に「代理人」としての登録を義務づける案も、理解できるとした。懸念への答えも求めた。

「政府には、新たな戦略の狙いを分かりやすく説明し、不安を解消していく努力が欠かせない。報道の自由が制限されることもあってはならない。」

読売新聞

民泊は、産経で二本目になった。9月20日の日経は、新宿区が住宅地での営業を原則禁止する方針を打ち出したことを書き、規制が強まると商売が形を変えて同じトラブルが生じると見て、一律に締めず運営の良し悪しで仕分けよと書いた。この日の産経は、新宿区の民泊の苦情が令和3年度の82件から7年度には1334件に増えたことを挙げ、規制の強化はやむを得ないと書いた。

「観光産業は日本経済の発展に重要だが、そのために住民の生活が犠牲になるのでは本末転倒だ。」

産経新聞

市販品類似薬(OTC類似薬)は、読売で二本目になった。9月4日の産経は、薬代の一部を保険から外す新制度で、がんや指定難病の治療に使う場合などを対象外とする厚生労働省の案を「妥当ではないか」と評価した。この日の読売は、対象外の条件が複雑で医療関係者でもわかりにくいとして丁寧な説明を求め、条件から漏れる患者が受診を控えて症状を悪化させないか目配りせよと書いた。

イランの戦争と中東は、東京で十二本目になった。ホルムズ海峡の封鎖は続き、紅海のバベルマンデブ海峡もイエメンのフーシ派が制圧した。米軍のミサイルは不足し、戦闘継続への国民の支持も欠く、と東京は書く。9月17日の読売も、米軍に余裕はなく和平協議しか道がないと書いていた。

「エネルギー価格の高騰を抑制するには外交を通じた輸送路の正常化しか道はない。」

東京新聞

この日の一本

東京新聞「生活保護判決 外国人排除の非人道性」を採る。

重い腎臓病で療養中のガーナ人男性が生活保護を求めた訴訟で、男性の敗訴が最高裁で確定した。男性は2015年に留学で来日して就労したが、末期の腎不全が判明し、人工透析で命をつないでいる。いまの在留資格は療養目的で、就労できない。千葉市への申請は外国籍を理由に却下された。

最高裁第2小法廷は、裁判官4人のうち3人の多数意見で男性の訴えを退けた。ただ、三浦守裁判長は、生活保護の対象から除外するのは生存権を保障した憲法に違反するとの反対意見を述べた。東京は、この反対意見に「同感だ」と書いた。

「母国では日本と同水準の医療を受けられず、現在は収入がない以上、生活保護の不適用は死を迫るに等しい。」

東京新聞

東京が挙げたのは、制度のねじれである。政府は国民年金や国民健康保険では法改正で国籍要件を撤廃したが、生活保護は、1954年に外国人にも適用するよう自治体に通知したことを理由に法改正を見送ってきた。永住者らを除く外国人への適用は事実上自治体の判断に委ねられている、と東京は書く。日本は社会保障で差別しないよう求める社会権規約を批准しており、東京は生活保護でも国籍要件を撤廃して、受給を明確な権利と位置づけよと求めた。

「日本の経済や社会はすでに外国人労働者抜きに成り立たない。」

東京新聞

9月27日の毎日は、難民認定の申請者の審査が厳しくなっていることを、排外的な風潮が広がる中での外国人政策の厳格化として書いた。この日の東京は、厳しさを増す入り口の話ではなく、すでに日本で働き、暮らしてきた人が病に倒れたときの支えを書いた。判決の多数意見と反対意見のあいだに、法改正を見送って通知で済ませてきた経緯を置いた。この一本を採るのは、そのためである。

出典

各紙の当日社説より引用。引用部分の著作権は各新聞社に帰属する。

前日までの社説への言及は、8月31日から9月28日までの本連載の記事と「主題別の比較一覧」による。


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