言葉の相談 0120-03-4946
社説の読み比べ

沖縄知事選と浜岡原発の不正を、6紙と5紙が同じ日に|社説読み比べ 2026年9月15日(火)

 公開

この日、並べると見えたこと

2026年9月15日(火)付の主要9紙の社説を読み比べる。この日の掲載は13本。聖教新聞はこの日、社説の掲載がなく、公明新聞「主張」は電子版から採録した。

13日の沖縄県知事選と、14日に中部電力が公表した浜岡原発の不正の報告書。13本のうち11本が、この二つを書いた。沖縄は六紙、浜岡は五紙である。

沖縄では、同じ当選を、読売と産経は県民が基地反対の県政から離れた結果と読み、朝日・毎日・東京は移設が受け入れられたとは言い切れないと読んだ。その分かれ目に、辺野古に基地ができても普天間が返るとは限らない、という米国防総省の見解がある。書いたのは朝日・毎日・東京で、読売・産経・日経は書かなかった。浜岡では、同じ「再稼働が遠のいた」を、読売と産経は国のエネルギー政策の損失として数え、東京と朝日は原発を続けるかを考え直す理由として数えた。

この記事の要点

  • 13本のうち11本が、沖縄県知事選と浜岡原発の不正の二つを書いた
  • 沖縄では、普天間が返るとは限らないという米国防総省の見解を書いた三紙(朝日・毎日・東京)が、移設が受け入れられたとは言い切れないと読んだ
  • 浜岡では、読売・産経が再稼働の遠のきを損失と数え、東京・朝日は原発を続けるかを考え直す理由と数えた

この日の一覧

追いかけ中の主題

主題これまでこの日通算
災害に誰が備えるのか9/1〜9/10 の十一本、9/13 朝日・読売(千葉のアンダーパス事故)公明(豪雨で駅に足止めされた帰宅困難者)、赤旗(備えとともに気候危機の打開を)—

一沖縄の同じ当選を、「転換」と読むか「苦渋」と読むか

13日の沖縄県知事選で、自民党などが推した新人の古謝玄太氏が、現職の玉城デニー氏らを破って初当選した。自民党などが推す県政は12年ぶりである。朝日・毎日・読売・産経・東京・日経の六紙が、この日に書いた。

読売新聞と産経新聞は、票を基地反対の県政への答えとして読む。読売は、国との対立を続けた玉城氏の手法をこう書く。

「辺野古移設への反対に固執してきた、玉城氏の手法が行き詰まっていたことは明らかだ。」

読売新聞

産経は約15万票の差を「圧勝」と呼び、一文で言い切った。

「県民は左派県政の継続を望まなかった。」

産経新聞

二紙とも、国は移設の工事を着実に進めよ、と続ける。

朝日新聞・毎日新聞・東京新聞は、移設が受け入れられたとは言い切れないと読む。朝日は、出口調査で「経済の活性化」を最も重視した有権者が5割に上り、辺野古移設に反対の人も4割以上いたと書いて、こう読む。

「基地負担や軍備強化への不安を抱えながら、苦渋の選択で一票を投じたと見るべきで、古謝氏も高市政権も重く受け止める必要がある。」

朝日新聞

毎日は投票行動調査の数字を置き、県民が移設を全面的に受け入れたとみるのは早計だと書く。移設に「賛成・容認」が45%、「反対」が30%、「どちらともいえない」が25%。東京は、反対の民意を重ねて示しても工事が既成事実化するなかで、県民に「疲れ」や「諦め」が広がったと見る。

分かれ目にあるのが、普天間の返還である。朝日・毎日・東京の三紙は、辺野古とは別に長い滑走路が確保されなければ普天間は返還されない、という米国防総省の立場を書いた。朝日と毎日は、計画が本当に実現できるのかを問い、東京は新基地の建設を強引に進めるなと書いた。読売・産経・日経は、この見解に触れていない。

日本経済新聞は、見出しを「沖縄の期待は負担の軽減だ」とした。

「ただ経済振興は米軍基地の返還と一体であり、県民の期待は沖縄に偏重する基地負担の軽減にある。」

日本経済新聞

そのうえで、沖縄の自衛隊の強化を「米軍の肩代わり」と呼び、それを米軍基地の削減につなげる道を探れ、と書いた。日経は当選を、負担を減らせという注文として読んだ。

二浜岡の同じ「遠のいた」を、損失と数えるか、引き返す理由と数えるか

中部電力は14日、浜岡原発の地震動データの不正について調査委員会の報告書を公表し、社長と会長の辞任と、再稼働に向けた審査の申請の取り下げを発表した。朝日・読売・産経・東京・日経の五紙が書いた。報告書の中身の受け取り方は、五紙で大きく違わない。分かれたのは、再稼働が遠のいたことの数え方である。

読売新聞と産経新聞は、損失として数える。

「身勝手な組織の自己正当化が、エネルギー政策の根幹である原子力発電所の再稼働を遠のかせる重大な失態を招いた。」

読売新聞

「こうした情勢下で準国産電源である3、4号機の再稼働が遠のくことは、国のエネルギー政策にとっての具体的な痛手である。」

産経新聞

二紙が並べる材料も同じ方を向く。中東の情勢と、原発を増やす国の方針である。

東京新聞は、同じ事実を反対の方へ数える。動かなくても維持費は年間1千億円ともされる、と挙げてこう書く。

「深く傷ついた信用を回復し、再申請が認められるまでの時間的、経済的なコストを考えれば再稼働を断念し他の電力に注力する道もあろう。」

東京新聞

東京はさらに、危険な原発を短期的な利益を求める民間企業が手がける構図を問い、原発回帰を進める政府への問いでもあると結んだ。朝日新聞は、再稼働の見通しが立たないなら廃炉を含めて根本から見直すべきだった、と書く。

日本経済新聞は、企業風土と企業統治を刷新して再出発せよと求め、原発の重要性は増すと書いた。

二つの主題を並べると、各紙の立つ場所が同じ並びになる。沖縄でも浜岡でも、読売と産経は国の方針(米軍の抑止力、原子力の活用)が損なわれないかを見た。朝日と東京は進め方(辺野古の工事、中部電に原発を委ねること)を問うた。日経は二つとも、前へ進むための条件(負担の軽減、組織風土の刷新)を書いた。

この日の一本

公明新聞「(主張)豪雨の帰宅困難者対策 官民連携で受け入れ体制強化を」を採る。

8月の千葉豪雨では、県内で1万人を超える人が帰宅困難になったとみられ、JR蘇我駅の周辺には約4000人が滞留した。名古屋市では大雨で、帰宅の時間帯に鉄道やバスが長く止まった。名古屋市は地震を想定して整備していた退避施設を開いて受け入れたが、急変する豪雨への対応の難しさを突き付けられた、と公明は書く。

「従来の対策は主に地震を想定しているため、近年、激甚化する豪雨の実態にも合わせた見直しが急務だ。」

公明新聞

9月13日に朝日と読売がアンダーパスの事故から書いたのと、同じ千葉豪雨である。車の中の人を書いた二紙に続いて、駅で足止めされた人を書いた。地震のために作った備えが、雨の日にどこまで使えるか。この日それを書いたのは、公明だけだった。

出典

各紙の当日社説より引用。引用部分の著作権は各新聞社に帰属する。

前日までの社説への言及は、8月31日から9月13日までの本連載の記事による。


本サイトの権利の扱いについてはプロジェクト:著作権をご覧ください。

0120-03-4946 ゼロサンよく読む 0120-03-4946 ゼロサンよく読む