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地方議員の現場レポート 第4回

伸びた木と草は誰が切るのか――空き家の木から、老いる街路樹まで

公開

この回の幹

伸びた木や草の手入れを、誰が受け持つのか。今回の投稿では、相談の届いた先や対応した先が、市を通じた空き家の所有者、県、府、区役所、都の建設事務所の河川担当、国の財務局と分かれていました。道路、川、国の財産には、それぞれ法律で管理する者が決められ、公営住宅には、法律で修繕の義務を負う者が決められています。その一方で、県営住宅の植木の伐採をこれまで自治会が担ってきたが、住民の高齢化で難しくなっている、と書いた投稿もありました。責任を負う者が決まっていることと、実際に手を動かす人がいることは、同じではありません。

この記事の要点

  • 木や草の手入れにかかわる、2025年8月〜2026年9月の七つの投稿を紹介します(うち一つは、外壁の修繕の相談にあわせて植木が伐採された例です)
  • 相談の届いた先や対応した先は、市の担当課(そこから空き家の所有者へ)、県、府、区役所の道路課、都の建設事務所の河川担当、財務局とさまざまでした。県営住宅・府営住宅では、自治会が伐採を担ってきた例と、府に相談して剪定された例がありました。枯れた街路樹の跡に植え直すべきだという請願を扱った例もあります
  • 道路、川、国の財産の管理者と、公営住宅の修繕の義務を負う者は、法律で決まっています。国は、地域の共同活動による農地・水路などの保全管理を支える交付金をつくり、民法を改めて、一定の場合に隣の土地の所有者が越境した枝を自分で切れるようにしました

今回の投稿(2025年8月〜2026年9月)

以下は投稿の要約です。投稿そのものは、各段の下に表示しています。

空き家の木は、市を通じて所有者に(埼玉県八潮市・すずきさだお市議/2025年8月20日)
空き家から樹木がはみ出している、という相談です。市の担当課に頼んだところ、担当課がすぐに所有者に連絡を取り、所有者が業者に頼んで剪定した、という報告です。

自治会が担ってきた伐採(広島県議会・井上けんいちろう県議/2026年4月26日)
県営住宅の自治会長から、外壁が壊れているという相談を受け、県に修繕を要望し、補修が終わった、という報告です。あわせて、伸び放題だった植木も伐採された。伐採はこれまで自治会が担ってきたが、住民の高齢化で難しくなっており、県に自治会業務の見直しを求めていく、と書いています。

府営住宅の集会所の雑草(大阪府議会・大竹いずみ府議/2026年8月9日)
吹田市の府営住宅の集会所で、以前から雑草が伸びて鬱蒼としている、という声を住民から受けていた。府に相談していたところ、剪定されていた、という報告です。地域の方から「綺麗に切ってくれてたよー!」と喜びの声を聞いた、と書いています。

歩道の雑草は、また伸びる(宮城県仙台市・内藤りょうすけ市議/2026年8月7日)
地元の方から歩道の雑草について要望を受け、現地を確かめて区役所の道路課に相談していたところ、剪定が終わった、という報告です。「雑草はまた伸びてきます」として、引き続き区役所と連携していく、と書いています。

川の中の木は、都の河川担当が(東京都日の出町・なわいきよ子町議/2026年9月18日)
この夏に依頼していた、川の中の一部に生えた木の伐採と、橋の近くの草刈りが終わった、という報告です。東京都の建設事務所の河川担当が対応し、終了の報告の連絡もあった。依頼した方と現場を確かめ、喜んでもらえた、と書いています。

国有地の草は、財務局に(栃木県宇都宮市・あきなり大市議/2026年9月24日)
国有地から狭い生活道路まで草が伸びてきている、という相談を地域の方から受けた。すぐに財務局に相談し、除草が完了した、という報告です。

枯れた街路樹の跡に、植え直すか(東京都葛飾区・中村けいこ区議/2026年3月16日)
区議会の委員会で、「区道の街路樹の再生に関する請願」を審査した、という投稿です。請願は、枯れた木の跡の植えますに街路樹を植え直すべきだ、という内容でした。中村区議は、区では昭和50年代以降に多くの街路樹を植え、その多くが植えてから30〜40年たって、老木化や倒木のおそれ、根による歩道の持ち上がり、落ち葉などの課題が出ていること、道路の下の水道管などの工事と関係して伐採が必要になる場合もあることを挙げています。区は現地を調べながら路線ごとに植え直しを進めている、との説明が委員会であったとし、枯れた跡に一律に植えることを求める請願には賛成できなかった、と書いています。

比べてみる

七つの投稿は、いずれも空き家、住宅、道、川、国有地の木と草にかかわるものです。投稿に書かれた、寄せられた声、木や草のある場所、伝えた先、結果を並べます。

寄せられた声木や草のある場所伝えた先投稿で報告された結果
八潮市空き家から樹木がはみ出している空き家市の担当課 → 所有者所有者が業者に頼んで剪定
広島県外壁の破損県営住宅県補修が完了し、あわせて植木も伐採。伐採はこれまで自治会が担ってきた
大阪府(吹田市)雑草が伸びて鬱蒼としている府営住宅の集会所府剪定された
仙台市歩道の雑草歩道区役所の道路課剪定。「雑草はまた伸びてきます」
日の出町川の中の木の伐採と、橋の近くの草刈り(依頼)川の中・橋の近く(依頼先は投稿に書かれていない)対応=東京都の建設事務所の河川担当伐採と草刈りが終了
宇都宮市国有地から生活道路まで草が伸びてきた国有地財務局除草が完了
葛飾区枯れた街路樹の跡に植え直すべきだ(請願)区道請願として区議会の委員会で審査本人は請願に賛成せず

上の六つは、伸びた木や草の手入れが行われた、という報告です。広島県は、修繕の相談に植木の伐採が伴った例です。いちばん下の葛飾区は、枯れた街路樹の跡に植え直すかどうかの話です。

上の六つを見ると、話の届いた先や対応した先はさまざまです。空き家の木は市を通じて所有者に、県営住宅は県に、府営住宅は府に、歩道の雑草は区役所の道路課に、国有地の草は財務局に届いていました。川の中の木は、都の建設事務所の河川担当が対応しました。

もう一つ、手入れを実際に誰が行ってきたかが書かれた投稿が二つあります。八潮市の投稿では、市の担当課が所有者に連絡を取り、剪定したのは所有者が頼んだ業者でした。広島県の県営住宅では、植木の伐採をこれまで自治会が担ってきました。一方、吹田市の投稿は、府に相談して剪定されたとだけ書き、誰が切ったかは書いていません。

手入れが一度で終わらないことを書いた投稿もあります。仙台市の投稿は、「雑草はまた伸びてきます」と書いています。

葛飾区では、請願という形で植え直しが求められ、中村区議は、老木化や地下の水道管などの課題と、区が路線ごとに植え直しを進めているという説明を挙げ、道路ごとに判断していく必要があるとして、一律の植え直しには賛成しませんでした。

国の制度とつなぐ――木と草の「管理者」は誰か

道の木について、道路法は、道路上の並木で道路管理者が設けるものを「道路の附属物」に数えています。また、道路管理者は、道路をいつもよい状態に保つよう維持・修繕に努めなければならない、とされています。仙台市の投稿で、歩道の雑草について相談した先は、区役所の道路課でした。

川について、河川法は、一級河川は国土交通大臣が管理し(国土交通大臣が指定した区間は、政令で定めるところにより、都道府県知事が一部の事務を行うこととすることができます)、二級河川は都道府県知事が管理する、と定めています。日の出町の投稿で対応したのは、東京都の建設事務所の河川担当でした。

公営住宅について、公営住宅法は、公営住宅を供給する地方公共団体を「事業主体」と呼び、建物の壁や屋根、給水・排水の設備などに修繕が必要になったときは、事業主体が修繕しなければならない、としています。県営住宅・府営住宅が公営住宅法の公営住宅であれば、県・府が事業主体にあたります。一方で同法は、集会所などを「共同施設」とし、入居者にも、住宅と共同施設について必要な注意を払い、正常な状態に維持するよう求めています。植木や雑草の手入れを誰が行うかは、この二つの条文には書かれていません。

国の土地について、国有財産法は、国の財産を、行政財産と、それ以外の普通財産に分け、行政財産は各省各庁の長が管理し、普通財産は財務大臣が管理し、又は処分する、と定めています。財務局は、財務省設置法で財務省に置かれた地方の機関(地方支分部局)です。宇都宮市の投稿では、相談した先は財務局でした。

隣の土地から枝が境界を越えてきたときについて、民法第233条は、土地の所有者は木の所有者にその枝を切らせることができる、と定めています。道路の側については、道路法に「沿道区域」の定めがあります。道路管理者は、道路に接する区域を沿道区域に指定でき、指定したときは、措置の対象となる竹木などを定めて公示します。公示された竹木などが道路の構造に損害を及ぼし、または交通に危険を及ぼすおそれがあるときは、その管理者は必要な措置を講じなければならず、道路管理者は、特に必要があると認めるときは、その措置を命じることもできます。八潮市の投稿は、はみ出した先が隣の土地か道路かは書いていません。

請願について、地方自治法は、議会に請願しようとする者は、議員の紹介により請願書を出さなければならない、と定めています。葛飾区の投稿も、紹介議員の署名によって委員会の審査に進む、と書いています。

歴史と比べる――植える者、切る者、手を動かす者

東京都建設局によると、759年、街道の並木の整備について初めて太政官符が出されたといわれます。江戸時代には、諸国の街道の両側に杉や松が植えられました。明治7年(1874年)には銀座通りにクロマツとサクラが植えられ、これが東京で初めての近代的な街路樹とされます。

全国の数字もあります。国土技術政策総合研究所の調べでは、国土交通省・都道府県・市町村・地方道路公社が管理する道路の街路樹(高木)は、1987年の約371万本から2002年の約679万本へ、15年で約1.8倍に増えました。その後の10年は横ばいで、2022年までの10年は減っています(2022年3月末で約629万本、2002年のピークから約50万本の減少)。約629万本のうち、約376万本、つまり6割ほどは市町村道の木で、道路法では、市町村道は市町村が管理します。

一方、農村の水路や農道のように、地域の共同作業で保全管理されてきたものもあります。農林水産省は、農村の過疎化、高齢化、混住化などで集落の機能が落ち、地域の共同活動によって行われてきた農地・水路・農道などの保全管理が難しくなりつつある、としています。同省はこれに対し、平成19年度(2007年度)に地域ぐるみの保全管理を支える対策を始め、その後の再編を経て、平成26年度(2014年度)に「多面的機能支払交付金」としました。同じ年の6月には法律ができ、平成27年度(2015年度)からはその法律にもとづく事業として実施されることになりました。交付金の対象になる活動には、水路の草刈りや泥上げ、畦畔(あぜ)などの草刈りが挙げられています。

私有地の木にも、法律の手当てが入りました。2023年4月1日の民法改正で、越境した枝の扱いが変わりました。神戸市の説明によると、それまでは、隣の土地から枝が越えてきても自分で切ることはできず、木の所有者に切ってもらうか、訴えを起こして判決を得て強制執行の手続きをとる必要がありました。改正後は、所有者に切るよう求めても相当の期間内に切らないとき、所有者やその所在がわからないとき、急迫の事情があるときは、越境された土地の所有者が自分で切ることができます。

「誰が切るのか」という問いでこの流れをたどると、二つの問いが重なっていることがわかります。一つは、誰が管理する者かです。道路、川、国の財産については、道路法・河川法・国有財産法で管理する者が決められ、公営住宅については、公営住宅法が事業主体に修繕の義務を負わせています。今回の投稿で相談の届いた先や対応した先が、区や市から国の財務局まで分かれていたことは、木や草のある場所によって法律上の管理する者が違うことと重なって見えます。ただし、投稿の一つ一つについて、管理する者が誰かまでは確かめていません。もう一つは、実際に誰が手を動かすかです。こちらは、集落や地域の共同作業、そして木の所有者本人に頼ってきた部分があり、その担い手が高齢化したり、所有者が見つからなかったりすると、手入れが難しくなることがあります(農林水産省の資料、広島県の投稿、民法の改正の中身から)。国の交付金は農村の共同作業を支える形で、民法の改正は、枝を切らない所有者や見つからない所有者の代わりに隣の人が切れる形で、この二つ目の問いに手当てをしてきた、と筆者は考えます。

今回の投稿のいくつかは、この二つの問いが交わるところにあります。八潮市では、市が所有者に連絡をつけ、所有者が業者に頼んで剪定しました。広島県の県営住宅では、植木の伐採をこれまで担ってきた自治会が、高齢化で難しくなっていると書かれ、井上県議は自治会業務の見直しを県に求めていく、と書いています。そして葛飾区の投稿のように、植え直すかどうかの判断そのものも、議員や議会に寄せられる声の対象になっています。

社説とつなぐ――制度の上の責任と、実際の担い手

2026年9月25日のしんぶん赤旗の「主張」は、介護サービスの人員配置の基準を緩め、在宅サービスを保険給付から自治体の事業に移せるようにする「特定地域」の制度を取り上げました。本サイトの連載「社説読み比べ」(9月25日)は、この一本をその日の「この日の一本」に選び、指定されても制度の上では今の介護サービスは残るが、担い手が足りないなかで、少ない人数で回せるサービスへの切り替えが進むおそれがある、という論として整理しています。

> 「赤旗は、制度の上で残るものではなく、担い手不足の下で実際に進む切り替えを問題にした。」(社説読み比べ 2026年9月25日)

介護と木の手入れは、まったく別の話です。それでも、この論の「制度の上で残るもの」と「実際に進む切り替え」という対比を、筆者は木と草の手入れに読み替えてみたいと思います。読み替えると、制度の上で誰が責任を負うかと、実際に誰が手を動かすかは、別々に見る必要があるという問いの形になります。

木と草の手入れでは、3節で見たとおり、道路、川、国の財産の管理者と、公営住宅の修繕の義務を負う者は、法律で決まっています。2節で見た県営住宅と府営住宅の二つの投稿のうち、広島県の投稿は、自治会が担ってきた伐採が住民の高齢化で難しくなっている、と書いています。担い手が細ったとき、その仕事がどこへ移るのか——管理する側が引き取るのか、作業の回数や範囲が減るのか——は、制度の条文だけからは見えません。仙台市の投稿の「雑草はまた伸びてきます」という一言は、この仕事が一度では終わらず、繰り返し人の手を必要とすることをうかがわせます。

今回の投稿は、伸びた木や草という身近な困りごとの記録ですが、その背後には、責任の所在と担い手の二つがあります。議員が相談を受けて管理する者へ話を届けることに加えて、担い手が細った仕事がどこへ移るのかを見ていくことが、この種の相談を考えるときの手がかりになる、と筆者は考えます。

→ 社説読み比べ 2026年9月25日

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出典

各議員の投稿は、本文中の埋め込みからXで原文をお読みください。制度・歴史の記述は次の資料によります。


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